鶴江渡 現パロ お正月ネタ

ちょっと早いけど現パロつるえどお正月話。即興二次創作からの再掲載。

正月番組を眺めながら江渡貝ははしを動かした。
目線はテレビ番組に向いているが、どちらかというと、えどがいの五感は手元のおせちとお雑煮に集中していた。
そして、心は机の上の電子端末に向いている。
時折、正月番組のテロップの文字が変わっているのを認識しているが、定期的に注がれるスマホへの視線はどこかなやましげだ。
ピコン、と通知の音が鳴った。
すると江渡貝は主人の帰りを待っていた犬が、急に耳をぴくりと上げて、すっと立ち上がるごとく背筋を伸ばした。
ふるふると指先で画面に触れれば、メッセージが浮かぶ。
「これから、初詣に行くけど一緒にどうかい」
液晶画面の反射光だけではないだろう、江渡貝は目を輝かせると、いそいそと画面に文字を打ち込んだ。
「行きます、すぐに、準備します」
江渡貝はお雑煮を流し込むように食べ終えると、こたつから飛び出た。
飛び出た姿は上はゆるゆるの毛玉だらけのニット、下にはゆるゆるの灰色のスエットを着ていた。
髪の毛は右に偏った寝癖がついたままになっている。
急いで洗面台で寝癖直しスプレーを吹き付けて髪をとかす。
顔を洗えば、一応土台は整った。
しょうもないニットから、年末のセールで買ったシャツに着替え、上着とコートを羽織る。
ずるずるに伸びたスエットからスラックスに着替え、きれいな靴下に履き替えた。
お気に入りの財布をもち、スマホをコートのポケットに入れて、江渡貝は鍵を持つ。
新しい年になってから初めて鶴見に会うことを考えると自然に頬が緩んだ。
今日は何を話そうか。まずは年明けのあいさつなんだけど、と心の中で呟きながら、玄関に向かう。
新年に鶴見に会えたらいいな、と思って過ごしていた。
きっと会う、そんなことを考えていたけれど、実際に連絡がくると心が躍る。
あぁ、今年もどうか、今年こそどうか。

おわり

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