家永さん

家永さんがわかいお嬢さんを解体するはなし。血みどろ注意。

こうして黒いドレスに身を包み、にこりと笑っていると死刑囚だった日々は遠い日常のように感じた。
家永はあのころと比べ、ハリを持った肌を撫でながら思った。
遠く、どこかから雷が聞こえた。家永は嵐の夜を好んでいた。
吹き荒れる豪雨に鳴り響く雷が人の悲鳴をかき消してくれるからだ。

獲物はすぐ隣に眠っていた。
簡単なガスで眠っている患者の皮膚を消毒した。
腕の静脈へ鎮静剤を打ち、さらに眠りを深める。麻酔を打てば、人の呼吸筋はとたんに働くのをやめ、
皮膚細胞血管は朽ちてしまう。鎮静をかけ、ぎりぎりのところで動かぬように、手足を固定した。
地下深くで、遠雷を聞きながら、家永は若い女の皮膚へメスの刃を切り込んだ。
へそを拠点に中央へ刃をいれれば、そのヒトはうめき声をあげた。
強く刃を押していけば、真っ白い腹に赤い血が点々と滲み、大きな血だまりを生む。
勢いに任せ、刃を強く引いた。むっとあたたかな体腔の空気が漏れ、血の匂いがあたりに広がった。
筋肉を避けていけば赤い裂け目からとろりと小腸のあたまが顔をだした。
ピンクで新しい、きれいな内臓だった。
女性は皮下脂肪が多い。余分な薄黄色のぷよぷよしたものを避けながら刃先をすすめていく。
あぁ、きれいな内臓に皮膚。しばらくは食べ物に困らないだろう。
ぺろりと血をなめれば、鉄臭い人の味がした。
黒いドレスはすっかり返り血で重たくなっていた。


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