20201202

12月25日の仕事終わり、
いつもより早く仕事を終わらせた鶴見は、部下の江渡貝のもとへ向かった。
江渡貝はまだノートパソコンを開いており、何か作業をしていた。
今話しかけて良いだろか、と江渡貝の様子をうかがいながら声をかける。
「江渡貝くん、今良いかな」
「はいっ!」
鶴見と江渡貝は上司と部下の関係でる。
しかし休日も親しくしており、友人脳ような関係であった。
仕事終わりの時間帯に声をかけられた江渡貝は、何か仕事のトラブルだろうかと不安げに鶴見を見返した。
「今日って何かある?」
江渡貝は怪訝そうに鶴見の瞳を見上げた。
「いいえ、特に何も」
ないです、と江渡貝は目線を下にやった。
「それなら一つお願いが」
「なんでも大丈夫ですよ、僕ヒマなので」
「このあと何か食べて帰らない?」
鶴見の一言に江渡貝は口を半分開けたまま、目を開閉した。
明らかに表情が明るい。鶴見は江渡貝の表情の変化に顔をほころばせる。
「え、あ……はい!」
こうして二人が向かったのは駅ビルに入っているパスタ屋だった。
「予約なしだけどお店に入れてよかった」
「ですね」
麺類大好き江渡貝はそういって笑ってみせた。
江渡貝はボロネーゼ、鶴見は野菜たっぷりトマトソースのパスタを注文する。パスタはセットになっており、サラダとスープ、それからパンが付いてくる。
「今月は個別対応の案件が多くて忙しかったね」
「年末ってどうしたってばたばたしちゃいますよね」
「あぁ。って折角のクリスマスなのに仕事の話題をだしてしまった、すまん」
「別に気にしてませんよ。鶴見さんと仕事の話するの好きですし」
「そう?」
「はい、って今、クリスマスなんですね。今年もあと6日しかないなんて、信じられます?」
ひぃぃと悲鳴をあげる江渡貝。
「あ、そだ……つるみさんに渡しそびれていたクリスマスプレゼントです」
「えぇ~」
「大したものじゃないんですけどね」
渡された紙袋をのぞけば、お菓子の箱が入っている。
「仕事の帰りに渡すつもりだったんですけど」
お見せを出る二人。
別れ際に鶴見は、江渡貝の腕を握った。
「江渡貝くん、ちょっと待って」
「実は誕生日だったんだ」
「誕生日……、鶴見さんの?」
「うん」
「え、おめでとうございます……というか僕なんかと一緒でよかったんです?」
「うん、よかった。私がそう望んだから」

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