江渡貝くん夢

江渡貝くん夢。夢主は死体です。

永遠の夢から目覚めた私の目の前に広がっていたのは、暗闇だった。
たしかに死んだはずの私は、何故か目覚めていたのだ。
生き返ったのだろうか。
否、死の淵から生還したのであれば、甘酸っぱい死の匂いや重く動くことない指先を魂の端で感じることはないだろう。
だが、この顔面の上からするのは何かを掘るような音だ。土を掘り返すような音だ。
身体全体にかかっていた重みが解け始め、私の死体を掘り返すものの存在を感じていた。
「ふぅ……」
ちいさなため息に続き、私の視界の一部に星空が見えた。
それから、こちらを覗く人の顔があった。悪趣味な。
そう思いながら自身の死体を掘り返されるのを待つ。
死体になってからというもの、自分の体に頓着することが減った。
魂21g分がまだこの身体に留まっているのは、最後の自身への未練があるのかもしれない。
「うん」
こちらを覗いているのは若い男性だった。合羽を着ている。
こぎれいな顔つきをしており、とても墓を掘りたそうな人間には見えない。
彼は私の体の損傷具合を確認し終えると、ふたたびシャベルを構える。
私の体に残っている土を避けるのだろう。
生きて居た頃に聞いていた噂話を思い出す。
夕張には人の皮を求め、墓を掘る幽霊がいるということを。
母親の愛情に飢えており、人ハダを求めて墓を掘るそうだ。

終。

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