暖かいということ。鶴江渡

外は薄暗い。窓枠には雪が積もっていた。
しかし、室内は風もないし、暖房器具があるおかげでだいぶ暖かだ。
そんな室内に、ひそひそと人の話し声が聞こえてきた。
江渡貝と鶴見の声だ。
「鶴見さん、もっとこっちに来た方が暖かいです」
うふふと江渡貝は少女のように笑って、鶴見を手招いた。
一歩離れていた鶴見は江渡貝の右腕にくっ付いた。
「うん、暖かい」
まだ、温まりきっていない部屋の中に、鶴見と江渡貝の話し声が湯気となって部屋の中に散った。鶴見は江渡貝の二の腕のあたりをふにふに掴むと、「やわいね」と言った。
江渡貝は「そんなことないですもん」と嬉しそうに言う。
熱した薪がパチパチと鳴る。時折達磨ストーブの金属が鳴る。
まだ部屋は温まりきっていない。
江渡貝は両手をこすり合わせて、はぁと自分自身の息を吹きかけた。
二人はお互いを温めるように、体を寄せ合ってストーブの火を見つめていた。

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