原稿進捗 20191104

全部かけないと気持ち悪いマンなので、進捗状況の報告が小出しですみません。
もうちょっとで描き終えるので頑張ります!

鶴見の指の節々に触れた。鶴見の手は江渡貝の手のひらよりも僅かに大きい。指先から伝わる体温に、江渡貝は鶴見と手を重ね合わせている事実を感じていた。
「それじゃ、いくよ」
そう言うと鶴見はゆっくりと曲を弾き始めた。
江渡貝は鶴見の指先に置いて行かれぬよう手を合わせたままにしている。
江渡貝はつたない手つきで一生懸命鶴見の指先を追ったしかし、鶴見の手の動きはだんだんと複雑になっていき、ついに江渡貝は別の鍵盤に触れてしまった。
「あ、まちがえた」
流れていた音楽は止まり、江渡貝の隣で鶴見は笑っている。くすくす笑う鶴見に対して江渡貝は不服そうに唇を尖らせた。
「だって先生の動きが早くって」
僕にはまだ難しいです。と江渡貝は頬を膨らませた。
「確かに、少し君をからかい過ぎてしまったかもしれない」
鶴見は江渡貝の手を温めるように包み込んだ。鶴見は上目遣いに江渡貝の瞳を見つめている。じっと見つめる鶴見の視線に江渡貝は困惑した。
「え、えっと……」
他人から至近距離でじっくり目を見られるのは初めてだった。江渡貝は気恥ずかしなり、思わず鶴見から視線を逸らした。これも鶴見にからかわれているのだろうか。
何も言えなくなってしまった江渡貝の様子に鶴見はくす、と笑った。そして藍色になり始めた空を一瞥し、江渡貝の方へ目を向けた。
「あぁ、そろそろ鐘が鳴る。暗くなる前に帰ろうか」
「え、もうそんな時間……」
「あっという間に時間は過ぎるねぇ」
鶴見は楽しそうに言うと椅子から立ち上がり窓の方を向いた。江渡貝も鶴見と同じ方向へ顔を向ける。
鶴見の言う通り、空の藍色が深くなり始めている。窓の外を眺めながら江渡貝は頷いた。

Share this...
Tweet about this on Twitter
Twitter
Print this page
Print